禁煙外来について
2017年3月27日
禁煙の社会的な取り組み、喫煙スペースの縮小、タバコの値上げなどにより喫煙者は、20代の女性を除き男女ともに減少傾向にあります。昭和40年には実に男性の80%が喫煙者でしたが、現在では29%まで低下しております。タバコの煙には、4,000種類の化学物質が含まれており、その中には200種類以上の有害物質、50種類以上の発がん性物質が含まれています。さらに副流煙には主流煙と比較して数十倍の濃度の発がん性物質が含まれていることから、質問者の方のように家族への健康被害も見過ごすことが出来ません。タバコの有害物質のなかで、よく知られているのは、ニコチン、タール、一酸化炭素ですが、この中でニコチンは特に依存性の強い物質で、タバコを吸うと数秒で脳に達しドパミンが放出されることで快感を生じます。いつでもタバコをやめられると思っていたのに、なかなか禁煙できないのは、このニコチン依存症が原因です。
禁煙補助薬には飲み薬、ニコチンパッチ、ニコチンガムの3種類がありますが、この中で最も禁煙成功率の高いのは飲み薬です。薬を飲むことで少量のドパミンが放出され、イライラなどのニコチン切れの症状が軽くなり、タバコを吸っても「おいしい」と感じにくくなるといった効果があります。治療期間は3ヶ月で、その間に5回の診察を受けますが、飲み薬を開始してから最初の1週間はタバコを吸ってもよく8日目から禁煙を開始します。飲み薬を使用する場合、多くの方が健康保険を使っての治療が可能で、自己負担3割の方は、総額1万3,000円~2万円程度の費用です。仮に、タバコを1日1箱吸う方の場合、4~8週間分のタバコ代とほぼ同じです。禁煙成功率は約80%と高いため、禁煙したい意志があれば是非治療に挑戦して頂きたいと思っております。
禁煙外来 アイコスについて
2016年9月24日
最近の禁煙外来においてアイコスについての質問をよく受けます。アイコスは最近登場した新しいタバコのために長期の詳しいデーターはないのが現状ですが、日本禁煙学会では以下のような見解を示しています。アイコスなどの新しいタバコには、①紙巻タバコと同様のニコチンが含まれている、②紙巻タバコと同様に種々の発癌性物質が含まれている、③紙巻タバコと違い発生する有害物質が見えにくく、受動喫煙の危険性がい高いなどの理由で紙巻タバコと同様に健康被害への警鐘をならしています。実際、部屋や服に匂いがつかないなど喫煙習慣がより手軽になることから、禁煙へのハードルはむしろ上がるのではないかと危惧しております。
禁煙外来について。女性の受診が増えています。
2016年5月30日
禁煙外来に来られる患者様も開院以来、順調に増えています。男女比を考えると特に女性の方が多いです。これから妊娠を希望される方や子供に言われて禁煙を決心されたお母さんもいらっしゃいました。ニコチン依存症患者に対して禁煙補助薬の内服適応は1日の本数×吸ってきた年数を掛け合わせて200以上の患者という決まりがありましたが、若年の喫煙者が増えているとのことから、本年4月より35歳未満はこの決まりがなくなりました。20代や30代前半の方で禁煙に挑戦したい方には朗報で、実際にこの世代の禁煙希望者も多いです。