ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法について

アレルギー性鼻炎と診断された患者さんの多くがダニのアレルギーとされています。特に、ダニの死がい・フンはハウスダストアレルギーの主要な要因と考えられています。通年性アレルギー性鼻炎の原因となる主なダニは、ヤケヒョウヒダニと呼ばれる小さなダニです。ご存知のように家の中の暖かく、湿気のある布団や絨毯、畳などを好みます。これらのダニのフンや死がいが原因となり、くしゃみや鼻水、かゆみ、咳などのアレルギー症状を引き起こします。ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法はダニを原料とするエキスを少量から服用することによって体を慣らし、ダニによるアレルギー性鼻炎の症状を和らげます。アレルギー症状の有無にかかわらず、毎日、長期間にわたり継続して内服する必要があります。

スギ花粉症の舌下免疫療法について

日本でスギ花粉症が多い理由に、スギの人工林が多いことに加え、地球の温暖化や都市部のアスファルト化なども関係していると言われています。スギの舌下免疫療法はスギ花粉のエキスをいて治療を行います。1日1回、少量から服用をはじめ、2週間は徐々に増量し、その後は決まった量を数年にわたり継続して服用します。初めての服用は、スギ花粉が飛散していない時期に、クリニック内で行い、2日目からは自宅で服用します。治療薬を舌の下に置き、数分間、保持したあとに飲み込みます。その後5分間はうがい・飲食を控えます。スギ花粉症においては約8割の方で症状が軽くなるとされています。

アレルギー免疫療法について

今年は例年よりもスギ花粉の飛散が多かったせいか、昨年よりもつらい思いをした方が多かった印象です。わたしたちの体は普段より異物を排除して感染症などから体を守るために免疫を有しています。しかし、この免疫が花粉など体に害のないものに対しても過剰に反応してしまうことがアレルギーです。アレルギーが生じると、くしゃみや鼻水、かゆみ、咳などの症状が現れ、花粉症やじんましん、喘息、食物アレルギーなどが起こります。アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から体内に入れることで、体を慣らしていき症状を緩和させる治療です。現在はスギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎などに対して行われています。

花粉症についてー抗ヒスタミン薬以外の治療

第二世代抗ヒスタミン薬でも眠気を完全に防ぐことは出来ません。そういった方には①ロイコトリエン拮抗薬という別の機序の薬を使用する、②点鼻薬や点眼薬を使用する、③舌下免疫療法を使用するなどの方法もありますが、どの方法も単独使用での効果は抗アレルギー薬と比較し弱いため、あくまでも抗アレルギー薬が花粉症治療の中心であることに変わりはありません。

花粉症についてーインペアード・パフォーマンス

抗ヒスタミン薬で最も困った副作用が眠気です。普段ヒスタミンは脳に作用し、活性化させる役割を担っていますので、この働きを阻害してしまうと脳の働きが低下して、眠気を生じます。強い眠気を生じなくても、自分では気づかない程度の集中力や判断力の低下、だるさを生じることがあり、この状態をインペアード・パフォーマンスと呼びます。特に、抗ヒスタミン薬が開発された当初の第1世代抗ヒスタミン薬では、この眠気やだるさが強かったことから、その点を改良した第2世代抗ヒスタミン薬が販売されました。最近では第2世代の抗ヒスタミン薬も市販され薬局で直接購入できるようになってきております。また医療機関で処方される第2世代抗ヒスタミン薬にも昨年からビラスチン、デスロラタジンという2剤が新たに加わり、より眠気を抑えることが出来るようになりました。

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