インフルエンザの薬と異常行動

あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。

今年の初回ブログは以前より問題となっているタミフルについて取り上げたいと思います。

タミフルの投与後に異常行動が生じることが以前より報告されています。つまり大声をあげる、泣きながら理由なく恐がる、暴力を振う、うろつく、走り出すといった行動です。しかし、異常行動と抗インフルエンザ薬との因果関係ははっきりしておらず、薬を服用してもしなくても、インフルエンザ自体により異常行動が引き起こされた可能性が指摘されています。インフルエンザではインフルエンザ脳症という脳炎の一種を引き起こすことが知られており、それの一症状とも考えられております。いずれにせよ10歳代の小児がインフルエンザにかかった場合は、目を離さないようにしてベランダへの扉には鍵をかけておくなどの対応が大事です。

インフルエンザ薬の種類

インフルエンザに対して処方される薬はノイラミニダーゼ阻害薬というもので、現在は4種類あります。いずれの薬も、症状が出始めてから48時間以内に使用を開始するのが望ましいとされております。

① タミフル(オセルタミビルリン酸塩)
内服薬で、カプセルとドライシロップの2種類があり、1日2回を5日間内服します。1歳以上であれば使用できますが、10代の未成年では異常行動との関係が否定できないとして、原則的に使用が控えられています。

② リレンザ(ザナミビル水和物)
吸入薬であり、1日2回を5日間使用します。4歳以下の子供は粉末がうまく吸い込めないことが多く、使用がやや困難ですが、5歳以上なら広い年齢で使用可能です。

③ イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)
1回だけ吸入するだけで治療が完結する吸入薬です。1歳以上の子供でも、きちんと吸い込むことができるなら使用可能です。

④ ラピアクタ(ペラミビル水和物)
注射薬で、1回15分間以上かけて投与するだけで治療が終わります。生後1カ月以上の小児でも使えます。

インフルエンザワクチンの不足について

昨日インフルエンザの流行が東京でも始まったと報道されました。今年はインフルエンザワクチンの不足もあり、流行が例年以上に広まるのではないかと懸念されております。インフルエンザは2~3日間は高熱が出ますが、その後はだんだん熱が下がってきて、4~5日かけて症状がよくなっていきます。しかし免疫能が不十分な5歳未満の子供、65歳以上の高齢者、妊婦、糖尿病、肺や心臓、肝臓や腎臓の慢性疾患を持っている人や、免疫を抑制する治療を受けているような人などでは、インフルエンザが重症化することや、肺炎などの合併症を引き起こすなどがあります。このような方々には特にインフルエンザワクチンを早く接種することが望まれますが、いまだ供給不足が続いており大変心配な状況です。

肺炎球菌ワクチンについて③

予防接種は1年を通して、いつでも可能で、再接種を希望される場合は、5年以上の間隔を空けて行うことになっており、接種してから約3週間で抗体(免疫)ができるとされています。65歳未満でも希望により接種可能ですが、定期接種は65歳以上の方、または60歳以上65歳未満で心臓や呼吸器疾患などの持病をお持ちの方が対象です。また毎年、冬になると流行するインフルエンザにかかることで免疫力や抵抗力が弱まると、肺炎を併発しやすくなることから、肺炎球菌ワクチンの単独接種だけではなく、インフルエンザワクチンとの同時接種も非常に有効とされています。

肺炎球菌ワクチンについて②

肺炎の原因は細菌やウイルスなどが、体に入り込んで感染症を起こすことに由来しますが、その原因菌で最も多いのが肺炎球菌です。肺炎球菌は主に小児の鼻や喉に住み着き、咳やくしゃみによって周囲に飛び散り、それを吸い込んだ人から人へと順次広がって感染していきます。肺炎球菌による肺炎は成人肺炎の25-40%を占めますが、肺炎球菌ワクチンの接種により肺炎を予防し、重症化を防ぎます。肺炎球菌には 93 種類の血清型があり、平成26年10月からの定期接種で使用される「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」は、肺炎球菌感染症の約7割を占める23種類の血清型に効果があるとされております。

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