禁煙外来について

禁煙の社会的な取り組み、喫煙スペースの縮小、タバコの値上げなどにより喫煙者は、20代の女性を除き男女ともに減少傾向にあります。昭和40年には実に男性の80%が喫煙者でしたが、現在では29%まで低下しております。タバコの煙には、4,000種類の化学物質が含まれており、その中には200種類以上の有害物質、50種類以上の発がん性物質が含まれています。さらに副流煙には主流煙と比較して数十倍の濃度の発がん性物質が含まれていることから、質問者の方のように家族への健康被害も見過ごすことが出来ません。タバコの有害物質のなかで、よく知られているのは、ニコチン、タール、一酸化炭素ですが、この中でニコチンは特に依存性の強い物質で、タバコを吸うと数秒で脳に達しドパミンが放出されることで快感を生じます。いつでもタバコをやめられると思っていたのに、なかなか禁煙できないのは、このニコチン依存症が原因です。

禁煙補助薬には飲み薬、ニコチンパッチ、ニコチンガムの3種類がありますが、この中で最も禁煙成功率の高いのは飲み薬です。薬を飲むことで少量のドパミンが放出され、イライラなどのニコチン切れの症状が軽くなり、タバコを吸っても「おいしい」と感じにくくなるといった効果があります。治療期間は3ヶ月で、その間に5回の診察を受けますが、飲み薬を開始してから最初の1週間はタバコを吸ってもよく8日目から禁煙を開始します。飲み薬を使用する場合、多くの方が健康保険を使っての治療が可能で、自己負担3割の方は、総額1万3,000円~2万円程度の費用です。仮に、タバコを1日1箱吸う方の場合、4~8週間分のタバコ代とほぼ同じです。禁煙成功率は約80%と高いため、禁煙したい意志があれば是非治療に挑戦して頂きたいと思っております。

睡眠時無呼吸症候群の治療について

前回は睡眠時無呼吸症の検査について述べさせて頂きました。今回は治療についてご説明したいと思います。治療は「減量」「マウスピース」「CPAP療法」「外科的手術」の4つに大別されます。一概にどの治療方法が優れているということはなく、重症度や原因に応じてこれらの治療法を組み合わせて検討するのが望ましいです。この中で最も簡単・安価な方法は減量です。肥満気味の方は首・喉まわりの脂肪が気道を狭くしている可能性がありますので、減量は軽症から重症の方まで大変有効です。「マウスピース」は、寝ている最中に口の中には入れ、下あごを上あごよりも前方に出すようすることで上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぎます。軽症から中等症の方に有効ですが、必ずしも全ての方に効果的な治療方法というわけではありません。マウスピースの作製は手軽で出張時などにも持って行くことができるので、CPAP療法と併用するケースもあり、作成は専門の歯科医にお願いしております。

CPAP療法は重症の睡眠時無呼吸症に最も有効な治療方法として、現在国内や欧米で最も普及しており、多くの研究によって治療効果が証明されています。治療が開始されるとCPAP本体のレンタルならびに鼻マスク、チューブなどの消耗品を含めクリニックから支給され、月一回の通院治療の費用は患者さんの自己負担(3割)で約5000円となります。ただCPAP療法は睡眠時の無呼吸を根本的に解決する治療法ではありません。このために半永久的に使用することが多く、減量などの根本的な治療は継続していく必要があります。

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