心筋梗塞の合併症

心筋梗塞を生じると様々な合併症が起こります。主なものに下記の3つがあります。
① うっ血性心不全
心臓の筋肉の一部が死んでしまうことによって心臓の機能が著しく低下し、肺への血の巡りも悪くなって肺に水が溜まり、呼吸困難、息苦しさ、息切れなどの症状がみられます。
② 不整脈
心臓の筋肉が壊れて心臓の拍動のリズムが崩れると、心室頻拍、心室細動などの頻脈(脈が通常よりも早く打つ状態)や洞不全症候群や房室ブロックなどの徐脈(脈が非常に遅く打つ状態)等の不整脈がみられます。
③ 心破裂
心臓の筋肉が死んでしまった部分に圧がかかり、心臓が破れてしまう状態で、早急に治療しないと死に至ります。

心筋梗塞の症状について

症状としては前胸部の痛みが主に起こります。胸の重苦しい痛みや肩や背中、首まで広がる痛みが数十分にわたって長く続きます。動悸、息切れ・呼吸困難、不整脈、吐き気、冷や汗、顔が青白くなる、奥歯の痛みが主なものですが人によっては、肩や指先の痛み、上腹部の痛みを訴える方もいます。
一方で、高齢者、糖尿病の方、腎臓病の方などでは痛みの痛覚が鈍っているために痛みを感じない方も少なくありません。専門用語では無症候性心筋虚血と呼び、年々増えております。後日になり心電図異常で気づかれることが多いです。

心筋梗塞とは

心筋梗塞は心臓の周囲にある冠動脈という血管が完全に詰まってしまう病気です。冠動脈を含め血管はだんだん老化していき、弾力のあった血管は硬く脆く傷つきやすくなっていきます。そこに、肥満やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が高い、高血圧などの状況が重なると血液が脂肪分でドロドロになり、傷ついた血管の壁に脂肪が溜まっていきます。脂肪が壁にへばりついて厚さを増すと血管の内側の幅が狭くなり、血液の流れが悪くなります。この血管の状態を動脈硬化と言います。動脈硬化が起こると血液が流れにくくなるので、血管の中で血の塊を形成することがあります。この血の塊は血栓と呼ばれます。

心臓の血管に動脈硬化が起こって血栓ができ遂には破裂して血管に詰まると、詰まった先の血管には血液が流れなくなり、心臓の筋肉に栄養や酸素が運ばれないため心臓の筋肉が死んでしまいます。これが、心筋梗塞です。

狭心症についてー心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査の具体的な方法ですが、カテーテルを心臓まで到達させるためには体の表面を走る動脈に針を刺す必要があります。針を刺しやすい動脈として、手首にある橈骨(とうこつ)動脈、肘の小指側を走る上腕動脈、足のつけ根にある大腿動脈の3か所が一般的に利用されます。橈骨動脈は普段、脈を触れる際にもよく利用される血管で、昨今のカテーテルの狭小化や検査後の止血の簡単さを考慮して多くの症例で使用されております。動脈に針を刺し血液の流れとは逆にワイヤーという針金を進めて、それに沿わせてカテーテルを大動脈から冠動脈の入り口まで進めます。そこから冠動脈に造影剤を流して撮影することで、その場で病変を認識でき、実際に病気があった場合にはそのままカテーテル治療に移行することもあります。一部の病院では日帰り検査も出来ますが、多くの病院で1泊2日の入院になることが多いです。検査の合併症としては大動脈の壁についている動脈硬化の破片をカテーテルで削って脳や腎臓、足の血管などに飛ばしてしまうカテーテル塞栓症、造影剤によるアレルギーや腎機能の低下などがありますが、頻度はそれほど高くなく、比較的安心して検査を受けて頂ければと思います。

狭心症について

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役目をしており、送り出された血液は体中の細胞で栄養として利用されます。心臓は1日10万回も動き続けておりますが、その心臓の周囲には心臓自身の筋肉に栄養を送っている冠動脈という血管があります。この冠動脈が詰まりかかるのが狭心症です。検査には負荷心電図、心臓CT、心筋シンチグラフィー、心臓カテーテル検査などで診断します。心臓カテーテル検査は実際に冠動脈までカテーテルという直径2mmほどの細い管を運び、血管造影剤を冠動脈に流してレントゲンで撮影するものです。

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